今回は贈与契約の撤回と3つの贈与方法ついて説明していきます。
贈与とは物を与える行為のことですが、一度約束した贈与は後から撤回することができるのでしょうか?
また贈与にはどんな種類の契約があるのでしょうか?
今回の記事を読んでいただければ次のようなことがわかります。
- 贈与契約とは何か?
- 贈与契約は撤回することができるのか
- 贈与契約にはどんな種類の契約があるのか?
ぜひ最後まで読んでいただき贈与契約の理解を深めてください。
贈与契約とは?
ではまずそもそも贈与契約とはどんな性質を持った契約なのでしょうか?
民法の549条には次のように規定されています。
第549条
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
つまり贈与契約とは無償であなたにこれを渡しますという意思表示と、受け取りますという意思表示によって成立することになります。
よって書面で契約しなくても、口頭で契約は有効に成立することになります。
では一度『渡します』といった贈与の契約は後から撤回することができるのでしょうか?
贈与契約の撤回
原則として一度行った贈与契約は後から撤回することができません。
約束をしたからにはきちんと守りなさいと民法は考えるのです。
しかし例外も存在します。
それが、書面によらない贈与契約の場合です。
第550条
書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
つまり書面ではなく口頭でした贈与契約は後から、『やめた』ということができるのです。
しかし注意するべきなのは但し書きです。
履行の終わった部分についてはこの限りではないと書かれています。
なので書面によらない贈与契約でも、一度渡してしまったら後から贈与契約を撤回することはできません。
贈与契約の種類
贈与契約にはいくつか種類が存在します。
ここではいくつかの贈与契約のパターンを紹介していきます。
定期贈与
例えば、毎月25日に5万円を与えますという契約のことです。
この定期契約ですが、5万円を渡す側、5万円をもらう側どちらかが死亡した時には効果がなくなります。
第552条
定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
負担付贈与
負担付贈与とは、あることをしてくれたらあるものを与えるという契約です。
例えば、毎日家の掃除をしてくれたら車を与えるという贈与契約です。
第553条
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
死因贈与
死因贈与とは贈与者が死亡した際にあるものを与えるという贈与契約です。
例えば自分がもし死んだら自分の持っている家をあげるというような契約です。
第554条
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する
贈与者の責任
では贈与者にはどんな責任があるのでしょうか?
あくまで贈与は無償で行われます。
ただであげている人にさらに責任を与えるのはあまりにもかわいそうです。
そこで民法551条では贈与者の責任について次のように規定しました。
第551条
1. 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
つまり原則として贈与者はある物の瑕疵について責任を負いません。
しかしあらかじめその瑕疵を知りながら黙っていた時には責任を負います。
例えば贈与した車のどこかの部品が故障しているのにそれを知っておきながら伝えなかった時には責任を取るということですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は贈与契約の撤回と3つの贈与方法について説明してきました。
内容をまとめると次のようになります。
- 書面によらない贈与は撤回できる
- ただし履行が終わった部分については撤回できない
- 贈与には負担付贈与、定期贈与、死因贈与がある
今回の記事でわからないことや、ここをもっと知りたい!など要望があればぜひコメントお待ちしております。
では最後までお読み頂きありがとうございました。
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