行政書士

賃貸借契約と使用貸借の違いとは?

今回は賃貸借契約と使用貸借契約の違いについて説明していきます。

どちらの契約も物の貸し借りということに違いはないのですが、2つの契約には相違点が存在します。

今回の記事を読んでいただければ次のようなことが分かります。

まとめ
  1. 賃貸借契約において賃借人の費用について
  2. 使用貸借における修繕義務について
  3. 賃貸借契約と使用貸借の違い

今回の記事を読んでいただければ、賃貸借契約と使用賃貸借契約がどう違うのか?が理解していただけるはずです。

最後までぜひ読んでみてください。

賃貸借契約とは?

賃貸借契約が皆さんにも馴染みがあるのではないでしょうか?

代表的なものが家を借りる時の契約ですね。

家賃を払うかわりに、家を貸してもらうというのが賃貸借契約になります。

民法の601条に賃貸借契約について規定がされています。

第601条
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

つまり賃貸借契約は物を貸しますという意思表示と、お金を支払いますという意思表示の合致によって成立する契約となります。

賃貸借契約は意思表示によって成立する。

賃貸借契約の修繕義務

では貸し出した家で修理が必要となった場合には賃貸人と賃借人どちらが責任を負うのでしょうか?

例えば天井に穴が空いて雨漏りが生じたようなケースです。

この場合に責任を負うのは賃貸人となります。

賃貸人は賃借人に気持ちよく家を使ってもらうように修繕をする必要があるのです。

それについてが民法の606条に規定されています。

第606条
1. 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

2. 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

2項には、賃借人は賃貸人の保存に必要な行為を拒めないと規定されています。

これは例えば雨漏りを賃貸人が修理しようとしているにもかかわらず、賃借人が『家に入ってこないで』ということができないということです。

賃借人が費用を支払った場合にはどうなる?

では先ほどの雨漏りのケースでもし賃借人が修理費を自分で出して修理を完成させた場合にはどうなるのでしょうか?

この場合には賃貸人は賃借人に対して修理を直ちに支払う義務があります。

それが民法の608条に規定されています。

第608条
1. 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

賃借人が有益費を支出した場合

では賃借人が有益費を支出した場合にはどうなるのでしょうか?

有益費とは、借りた物の価値を増加させるような費用を言います。例えば建物を増築したような場合です。
この場合に賃借人は賃貸人に対して代金を請求することができるでしょうか?

民法の608条2項には次のように規定されています。

第608条
2.賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

第196条
2.占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる

つまり賃貸人は契約が終了するときに、価格の増加もしくは賃借人が実際に支出した費用を支払わなければいけません。

ただし増価額もしくは実際に費用のどちらを支払うかは賃貸人が選択できるという点に注意だ!

使用貸借契約とは?

次に使用貸借契約について説明していきます。

使用貸借契約とは賃貸借契約とは違って無償で物を貸し出す契約のことです。

例えば家賃をもらわずに部屋を貸し出すような場合のことです。

使用貸借については民法593条に規定されています。

第593条
使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

使用貸借の借主の義務

では使用貸借の場合には借主にはどんな義務があるのでしょうか?

民法594条の1項には次ように規定されています。

第594条
1. 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。

当たり前のことですが、決められたルールに従って賃借人は賃借物を使用する義務があります。

さらに賃借物を使用する上で賃借人には善管注意義務があります。

第400条
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

使用貸借契約の修繕義務

では使用貸借の場合には修繕義務は賃貸人と賃借人どちらにあるのでしょうか?

結論としては、使用貸借の場合には賃借人に修繕義務があります。

なぜなら賃貸借契約の場合とは違って賃借人は家賃を支払っていないわけです。

よってお金をもらっていないのにも関わらず、修繕費まで賃貸人にさせるのは酷すぎるという理由から使用貸借の場合には賃借人に修繕義務があります。

第595条
1. 借主は、借用物の通常の必要費を負担する。

使用貸借契約はいつ終了するの?

では使用貸借契約はいつ終了するのでしょうか?

賃貸借契約の場合であれば契約の期間が決められていますが使用貸借の場合にはどうなのでしょうか?

第597条
当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。

使用貸借の場合にも期間を定めることができすが、期間の定めがない場合には貸主はいつでも返してということができるのです。

さらに終了原因としては借主が死亡したときには使用貸借は契約が終了します。

第599条
使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。

貸し主ではなく借主という点に注意しましょう!

賃貸借の場合には使用貸借と違って借主の死亡は終了原因ではないことに注意だ!

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は賃貸借契約と使用貸借の違いについて説明してきました。

今回の内容を簡単にまとめると次のようになります。

まとめ
  1. 修繕義務は賃貸借の場合は賃貸人に、使用貸借の場合には賃借人にある
  2. 賃貸借契約は有償、使用貸借は無償の契約
  3. 使用貸借は借主の死亡によって終了する

今回の内容でわからないことや、ここをもっと知りたい!など要望があればぜひコメントお待ちしております。

では最後までお読み頂きありがとうございました。

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