今回の記事では詐害行為取消権の時効と効果について説明していきます。
こんな疑問を解決します。
今回の記事を読んでいただければ次のようなことがわかります。
- 詐害行為取消権とは何か?
- 詐害行為取消権の要件で成立するのか?
- 詐害行為取消権の時効について
ぜひ最後まで読んでいただいて詐害行為取消権の理解を深めてください。
目次
詐害行為取消権とは?
詐害行為取消権とは債務者が債権者のことを害すると知りながら第三者に財産を渡したりする法律行為を取り消すことができる権利のことです。
少しわかりにくいので例を出しながら説明していきます。
詐害行為取消権の具体例
AさんはBさんに100万円を貸していました。
しかしBさんはAさんに100万円を返さないといけないのにもかかわらず、Cさんに自分の持っている500万円の価値がある不動産を贈与してしまいました。
そしてBさんは無資力となってしまい、Aさんに100万円を返せなくなってしまいました。
BさんがCさんに土地を贈与しなければAさんに100万円を返せたはずです。当然Aさんは激怒しています。
こんな時に使えるのがこの、詐害行為取消権なんです。
AさんはCさんに対して法律行為の取り消しを請求することができるのです。
これが民法の424条に規定されています。
第424条
1. 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
詐害行為取消権の要件とは?
では詐害行為取消権の要件についてまとめていきます。
詐害行為取消権の要件には以下の2つがあります。
- 被担保債権が詐害行為以前に成立している
- 債務者が無資力
では1つずつ説明していきますね。
被担保債権が詐害行為以前に成立している
まずは被担保債権が詐害行為以前に成立していることが条件になります。
例えば、被担保債権が詐害行為取り消し権よりも後に成立したとしましょう。
そうするとすでに、BさんはCさんに土地を贈与した後にAさんから100万円を借りることになるのでまったく問題がありませんよね。
AさんもBさんの状況を知った上でお金を貸しているわけなので責任があります。
債務者が無資力
2つ目の要件が債務者が無資力だということです。
先ほどの例でいくと、BさんがCさんに500万円の土地を贈与したとしてもAさんに100万円を返すだけに資金が他にあればなんの問題もないのです。
つまり重要なのはAさんにきちんと借りた100万円を返せるかどうかがポイントになるのです。
詐害行為取消権の請求方法
では詐害行為取消権はどのように請求すればいいのでしょうか?
結論として詐害行為取消権は裁判上で行わなくてはいけません。
裁判以外でAさんがCさんに土地を渡せ!といってもなんの効力もないわけです。
ここで注意すべきなのは、Aさんが土地の贈与の取り消しを請求するのはBさんではなくCさんだという点です。
詐害行為取消権の時効
詐害行為取消権の時効はいつ成立するのでしょうか?
それが民法426条に規定されています。
第426条
第424条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
つまり426条に規定されているように、債権者が債務者の詐害行為を知った時から20年もしくは、詐害行為の時から20年が経った時には時効で消滅してしまいます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は詐害行為取消権の時効と効果について説明してきました。
今回の内容をまとめると次にようになります。
- 詐害行為取消権は債務者が債権者を害することを知って行った法律行為を取り消せる権利
- 要件は、1.被担保債権が詐害行為よりも前に成立、2.債務者が無資力
- 詐害行為は裁判上で行う
- 詐害行為を知った時から20年もしくは詐害行為の時から20年で消滅時効
今回の記事の中でここがわからないや、ここをもっと知りたい!など要望があればぜひコメントお待ちしております。
では最後までお読み頂きありがとうございました。
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