今回は自己契約と双方代理について説明していきます。
>結論から言うと、この2つ方法は原則として禁止されています。
しかしある条件を満たすことによってすることができるのです。それはどんな条件なのでしょうか?
今回の記事を読んでいただければ次のようなことが理解できます。
- 自己契約とは何か?
- 双方代理とは何か?
- 2つの方法が例外的に認められるケースはいつか?
是非最後まで読んでいただいて、2つの代理契約がどんな内容のものなのかを理解してみてください。
自己契約とは?
ではまず自己契約とはどんな契約なのでしょうか?
ネットで検索してみると次のように書かれています。
一人が,一方当事者の代理人としての資格と他方当事者としての資格とを使い分けて,自分だけで契約を締結することをいう
引用;コトバンク
少しわかりにくいですね。イメージしやすいように図を使いながら説明していきます。
自己契約の具体例
例えばAさんが時計を売りたいと思っていました。そこでBさんを代理人としてAさんの時計を売ってもらうことにしました。
しかしBさんはAさんの時計をすごく気に入ったので自分でその時計を買うことにしました。
ズバリこれが自己契約です。
Bさんは代理人でありながら、買主でもあるのです。
よってこれを認めてしまうと、Aの代理人であるBさんは自分の都合の良いように契約を結んでしまいます。
極端な話10万円の時計を1万円で契約してしまうかもしれませんよね。
これではAさんにとって不利になってしまうという理由で民法では自己契約を禁止しました。
民法108条
この自己契約は民法の108条に書かれています。
第108条
同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りではない。
ここで注目して欲しいのがただしの後からです。本人があらかじめ承諾した場合にはこの限りでないと書かれています。
つまり原則としては自己契約は禁止されていますが、本人が承諾した場合には有効になるのです。
先ほどの例で考えてみると、AさんがBさんにあなたが時計を購入してもいいよと認めた場合には自己契約は有効に成立します。
あくまで本人が認めているのであれば保護する必要はありませんもんね。
双方代理とは?
では双方代理とはなんなのでしょうか?
こちらもネットで検索してみると次のように書かれていました。
同一人が契約当事者の双方の代理人となって,それぞれの代理行為を行うことをいう。
引用;コトバンク
これも図を使った方がわかりやすいですね。
双方代理の具体例
AさんはBさんに不動産の売却についての代理権を与えました。
一方でCさんもBさんに不動産の購入についての代理権を与えました。
そしてBさんは2人の代理人という立場でAさんとCさんの間での契約を結びました。
これが双方代理になります。
1人の代理人が双方に代理人として契約を結んでしまうとどちらかにとって不利な契約になってしまう可能性があります。
BさんがCさんにとって有利な契約をしようと思えばAさんが損をしてしまいますよね。
逆にBさんがAさんにとって有利な契約をするとCさんが損をしてしまうことになります。
よって民法では双方代理も禁止がされています。
民法108条
双方代理についても、自己契約と同じく民法の108条に規定されています。
第108条
同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りではない。
しかし自己契約と同様、本人があらかじめ承諾している場合には有効となります。
本人が承諾しているのであれば保護する必要はありませんよね、という考え方です。
まとめ
今回は自己契約と双方代理の2つについて取り上げてきました。
簡単にまとめると以下のようになります。
- 自己契約と双方代理は原則禁止されている
- ただし本人があらかじめ承諾している時は有効になる
誰かにとって不利にならないように規定されているのがこの民法108条でした。
今回の記事の中で分からないことや、ここをもっと知りたいなどご要望があれば是非コメントお待ちしております。
では最後までお読み頂きありがとうございます
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