今回の記事では民法96条『詐欺』と『強迫』による取り消しについて書いていきます。
今回はこんなお悩みを解決します。
詐欺と強迫は実生活の中でも関わり合いが深い内容ではないでしょうか?
今回の記事を読んでいただければ次のことが分かります。
- 詐欺による意思表示は取り消せるのか?
- 脅迫による意思表示は取り消せるのか?
- 取り消せるなら例外のパターンはあるのか?
いつ自分の身に起きるか分からないのでしっかりと詐欺と強迫があった場合の取り消しについてはしっかりと学んでおきましょう。
詐欺による取り消し
では詐欺による意思表示は取り消すことができるのでしょうか?
結論から言うと詐欺による意思表示は原則として取り消すことができます。
それが民法の96条に規定されています。
第96条
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
つまりもしAさんがBさんに騙されて不動産を買ったとしてもその契約は取り消すことができます。
騙されたのに契約を取り消せないとなるとAさんが可哀想だと民法では考えたのです。
ではAさん、Bさん以外にもCさんという第三者がいるようなケースではどうなるのでしょうか?
第三者による詐欺の取り消し
AさんがBさんに騙されて不動産を購入した場合には詐欺による取り消しが可能でした。
では、AさんがBさんに騙されて、Cさんに不動産を売ってしまったような場合にはどうなるのでしょうか?
この場合にはCさんが善意か悪意かによって変わってきます。
民法96条には次のように書かれています。
第96条
2.相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
つまりもしCさんが善意(AさんがBさんに騙されたことを知らない)場合には、Aさんは契約を取り消すことはできません。
反対にCさんが悪意(AさんがBさんに騙されたことを知っていた)の場合には、Aさんは契約を取り消すことができます。
- 第三者が善意の場合→後から契約の取り消しできない
- 第三者が悪意の場合→後から契約の取り消しができる
あくまでもCさんが善意なのであれば保護をすべきなのは詐欺で騙されたAさんよりも、Cさんであると民法は考えます。
強迫の取り消し
では強迫の場合には取り消しはどうなるのでしょうか?
強迫の場合にも詐欺と同様に民法96条に次のように規定されています。
第96条
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
つまり強迫の場合にも契約を取り消すことができます。
そして、強迫と詐欺の取り消しにおいて違う点が1つあります。
それが強迫の場合には例え第三者が善意であっても取り消すことができるということです。
先ほどの詐欺のケースであれば、第三者のCさんがいた時にはCさんが善意であれば契約を取り消すことはできませんでした。
一方で強迫であれば問題なく取り消すことができるのです。
これは詐欺に比べて強迫を受けた人は保護してあげるべき立場の人だと民法は考えたからです。
詐欺で騙された人は少なからず責任がありますが、強迫の場合には責任性がありませんよね。
まとめ
今回は詐欺と強迫の取り消しについて取り上げました。
内容を簡単にまとめると以下のようになります。
- 詐欺による意思表示は原則取り消せる
- ただし善意の第三者がいる時には取り消せない
- 強迫による意思表示は取り消せる
- 強迫の場合には第三者の善意、悪意は関係ない
こうして見てみると、誰を一番保護してあげるべきかを考えると覚えやすいかもしれませんね。
では最後までお読み頂きありがとうございました。
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