今回は民法643条の委任契約について説明していきます。
委任契約とはどんな契約の内容なのでしょうか?
今回の記事を読んでいただれば次のようなことがわかります。
・委任契約とは何か?
・委任契約の報酬はどうなるのか?
・受任者にはどのような義務があるのか?
委任契約で注意するべきことや、委任契約の解除についてを1つずつ説明していくので最後まで読んでみてください。
目次
委任契約とは?
まず委任契約とはどんなものなのでしょうか?
民法の643条には委任契約について次のように規定されています。
第643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
つまり委任契約とは、『あなたにこの法律行為を任せます』という意思表示と、『わかりました』という意思表示によって成立することになるのです。
委任契約の報酬
では委任契約の報酬はどうなっているのでしょうか?
実は委任契約は特約がなければ無償なんです。
例えば行政書士の先生が委任契約をお客様と結んだとしても特約をつけていなければ報酬は発生しないのです。
もし行政書士として開業される方はこれをしっかりと理解しておきましょうね。
第648条
1. 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。2. 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項の規定を準用する。
委任者の義務
では委任する人にはどんな義務があるのでしょうか?
委任者の義務は大きく3つあります。
・費用償還義務
・受任者が過失なく受けた損害の賠償
1つずつ説明していきます。
費用の前払い
まず委任者は原則として委任契約の事務費用を前払いしなければいけません。
例えば行政書士の先生の交通費などです。
第649条
委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
費用の償還義務
2つ目が費用の償還義務です。
もし受任者が委任事務の費用を立て替えて支払った場合には、委任者はその費用を委任者に償還しなければいけません。
そして支払う費用には、受任者が支出をした日以後の利息をつける必要があります。
第650条
1. 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
受任者が過失なく受けた損害の賠償
3つ目が受任者が過失なく受けた損害の賠償です。
第650条
3.受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
もし受任者が過失なく損害を何か受けた時には、その損害を委任者が支払う必要があるのです。
以上の3つが委任者の義務になります。
委任者は受任者に仕事を任せている立場なので、受任者に負担がかからないようにするのが義務ということですね。
受任者の義務
では仕事を受ける側の受任者にはどんな義務があるのでしょうか?
受任者の義務も3つ存在します。
・報告義務
・権利の移転義務
これについても1つずつ説明していきますね。
善良な管理者の注意義務
受任者には善良な管理者の注意義務があります。
これは有償であろうとも無償であろうとも変わりません。
受任者は委任者のために最大限の注意を持って仕事をしなければいけないのです。
第644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
報告義務
2つ目が報告義務です。
受任者は委任者から請求があった時や、委任業務が終了した時にはそれを報告しなければいけません。
第645条
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
権利の移転義務
3つ目が権利の移転義務です。
受任者は委任業務で得た権利をきちんと委任者に移転しなければいけません。
あくまでも受任者は委任者のために動いていることを忘れてはいけません。
第646条
2.受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。
以上の3つが受任者の義務です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は民法643条の委任契約について説明してきました。
今回の内容を簡単にまとめると次のようになります。
- 委任契約は委任者と受任者の意思表示によって成立する
- 委任契約は原則無償
- 委任者には義務が3つある
- 受任者にも義務が3つある
今回の記事のなかでわからないことや、ここをもっと知りたい!などあればぜひコメントをお待ちしております。
民法を勉強するなら圧倒的にオススメの教材!
民法を学習している人に圧倒的にオススメなのが、『山本浩司のオートマシステム』です。
総則・物権・債権と3つのパートに分かれていて、2020年の民法改正にも対応しています。
民法の教材は難しい文章ばかり書かれていてなんだかとっつきにくいイメージがありませんか?
私もいろんな教材を見ては挫折をしてきました。
ただこの『山本浩司のオートマシステム』は物語形式に話が進んでいくので読むのが苦にならないんです。楽しく読めていつの間にか民法の知識が定着している。そんな一冊です。
今民法の教材に悩んでいるという方には抜群にオススメできる一冊なので購入しておきましょう!