今回は時効の援用と放棄について説明していきます。
今回はこんな疑問を解決していきます。
この記事を読んでいただければ次のようなことがわかります。
- 時効の援用は誰ができるのか?
- 時効完成後に債務の承認をした場合にはどうなるのか?
- 時効の放棄はいつでもできるのか?
時効ってどんな時に成立するんだっけ?と言う人はまず前回の記事を読んでいただけると理解がしやすいかもしれません。
時効の援用とは?
時効の援用とは、時効が完了した時にそれを主張することです。
時効は必要な期間が過ぎたからといってすぐに成立するわけではないんです。
誰かが手をあげて、『時効完了しました!』と主張する必要があるのです。
時効の援用は誰ができるのか?
では時効の援用は誰が主張することができるのでしょうか?
まず当然ですが時効の消滅で利益を受ける本人は時効の援用を主張することができます。
そして、保証人と連帯保証人も同様に時効の援用をすることができます。
つまり時効の援用ができるのは、時効の消滅によって直接利益を得る人という風に考えましょう。
他に利益を受けることになる人は、後順位抵当権者が先順位抵当権者の時効の消滅を援用することもできます。
時効完成後の承認
では例えば時効が完成した後に時効の援用をすることなく、債務の承認をしてしまった場合にはどうなるのでしょうか?
例えば、AさんがBさんから100万円を借りていましたが10年間の時効が完成しました。
しかしAさんがBさんに100万円の債務を時効の後に承認したようなケースです。
この場合にはAさんは時効の援用を主張することができません。
認めたからにはきちんと支払いなさいよと民法では考えるのです。
しかしAさんが債務を承認してからさらに10年が経過した場合に関しては、Aさんは時効の援用を主張することができます。
時効の放棄
さて時効の援用ができれば、時効の放棄をすることもできます。
AさんがBさんから100万円を借りていましたが10年間の時効が完成しました。
その時にAさんは時効の援用を主張することもできますし、時効を放棄してBさんに100万円支払う選択をすることもできます。
あらかじめ時効を放棄することはできない
押さえておきたいポイントは、民法では時効の完成前にあらかじめ時効を放棄することはできないと定められいるということです。
民法146条には次のように規定されています。
第146条
時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
よって契約書などに時効の利益を放棄しますと記載してもその効果は無効になります。
なぜならこれをしてしまうとお金を貸す人は必ずこの1文を契約書に記載することになり、借りてがお金を借りることができなくなってしまうからなのです。
まとめ
今回は時効の援用と、時効の放棄についてまとめてきました。
簡単に今回の内容をまとめると以下のようになります。
- 時効の完成は時効の援用をしなければ効果が発生しない
- 時効の援用は直接利益を受ける人が主張することができる
- 時効の完成後に債務を承認した場合には時効の援用を主張できない
- 時効の利益はあらかじめ放棄することができない
今回の記事の中でわからないことや、もっとここを説明してほしい!ということがあれば是非コメントをお待ちしております。
では最後までお読み頂きありがとうございました。
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