今回の記事では抵当権と根抵当権の違いについて説明していきます。
こんな疑問をこの記事では解決します。
今回の記事を読んでいただれば次のようなことがわかります。
- 抵当権とはどんな権利なのか?
- 根抵当権とはどんな権利なのか?
- 抵当権と根抵当権はどう違うのか?
読み終わった後にはしっかりとこの2つの権利の違いが理解できているはずなのでぜひ最後まで読んでみてください。
抵当権とは?
ではまず抵当権とはどんな権利のことなのでしょうか?
民法369条1項には抵当権について次のように規定されています。
第369条
1. 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
つまり抵当権を債務者が債務の弁済をしなかった時に備えて債権者が債務者の土地や建物を債務の担保とし、競売代金を優先的に受け取ることができる権利のことです。
住宅ローンも抵当権
一番わかりやすいのが銀行の住宅ローンですね。
銀行は住宅ローンを貸し付ける代わりに、代金が支払われなかった時に備えて家や土地に抵当権を設定します。
もしあなたが住宅ローンの代金を支払わないと、銀行があなたの土地や建物を競売にかけてそのお金を回収するわけです。
これがざっくりとした抵当権のイメージになります。
次に抵当権の4つの性質についてみていきましょう。
抵当権の4つの性質
抵当権には4つの性質があります。
この4つの性質を理解すると抵当権がどのようなものなのを理解しやすいはずです。
- 付従性
- 随伴性
- 不可分性
- 物上代位性
4つの性質について1つずつ説明していきます。
付従性
付従性とは抵当権の被担保債権が消滅すれば、抵当権も消滅するという性質です。
先ほどの住宅ローンのケースで考えるならば、住宅ローンを完済したのなら、抵当権もそれに付従して消滅するのです。
ボス(被担保債権)がいなくなれば子分(抵当権)も従って消滅すると覚えておきましょう。
随伴性
随伴性は被担保債権が他の人に譲渡されれば、抵当権もそれに伴って移動するという性質です。
住宅ローンを支払う人がAさんからBさんに変わったのであれば、抵当権もそれと一緒にBさんに変更されるということです。
不可分性
不可分性とは被担保債権の一部が消滅したとしても、抵当権は消滅しないという性質です。
例えば住宅ローンを一部返済したからといって、抵当権も一部消滅するとはなりません。
完済されるまで抵当権はずっと存在します。完済されて初めて抵当権も消滅することになるのです。
これが不可分性になります。
物上代位性
物上代位性とは、被担保債権が滅失してしまった場合などに抵当不動産の所有者が受け取る金銭を代わりに受け取ることのできる性質です。
例えば抵当権を設定していた不動産が火事で滅失してしまった場合にでも、銀行は不動産の所有者がもらえる火災保険を代わりに受け取ることができるのです。
以上が抵当権の4つの性質になります。。
根抵当権とは
では次に転抵当権とはどんな権利なのでしょうか?
例えば、Aという車メーカーと、Bという車の販売店があったとします。
この場合にAはBに車を販売するたびに抵当権を設定して登記をして、また消滅したら抵当権を設定しなくてはいけません。
これではお互い取引をするたびにめんどうすぎます。そこで登場するのがこの根抵当権です。
根抵当権のポイントは極度額!
この根抵当権は、あらかじめ取引の『枠』を決めることができるんです。
例えば『3000万円までの範囲内の取引』という枠を先に決めてしまえば、3000万円の範囲内の取引のならわざわざ何度も抵当権を設定して登記しなくてもいいのです。
この枠のことを根抵当権の極度額というふうに呼びます。
第398条の2
1. 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
根抵当権においてはこの極度額の設定が登記事項となっています。
抵当権との大きな違いはこの極度額の設定があるかどうかですね。
根抵当権の債権の範囲
また極度額と同時に根抵当権では明確にしておかなければいけないことがあります。
それが、債権の範囲です。
民法398条には次のように規定されています。
第398条の2
2.前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
例えば先ほどの例で考えるのなら、根抵当権の範囲を車の販売における取引のみというふうに決めるのです。
そうすることで、もしAとBが不動産の取引に関する行為をしても根抵当権の範囲外ということになります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は抵当権と根抵当権の違いについて説明してきました。
今回の内容を簡単にまとめる次のようになります。
- 抵当権には付従性、随伴性、不可分性、物上代位の4つの性質がある
- 根抵当権は、極度額と債権の範囲をあらかじめ設定することで取引を円滑にできる
今回の記事を読んで分かりにくかった箇所や、ここをもっと説明してほしい!など要望があればぜひコメントお待ちしております。
では最後までお読み頂きありがとうございました。