今回は交通事故における使用者責任について説明していきます。
こんな疑問に今回は答えていきます。
従業員が起こした事故なのだから従業員が責任を取れとも思いますが、実際はどうなのでしょうか?
今回の記事を読んでいただければ次のようなことが分かります。
- 交通事故における使用者の責任
- 使用者と従業員の責任割合はどうなるのか?
最後までぜひ読んでみてください。
交通事故における使用者責任
では従業員が起こした事故の責任を会社は負うのでしょうか?
結論として、業務中の事故であれば会社も損害を与えた第三者に責任を負うことになります。
例えばピザ屋の配達の従業員がバイクでピザを運んでいるときに歩行者と接触した場合には会社も歩行者に対して責任を負うことになるのです。
これが民法の715条に規定されています。
第715条
1. ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。2. 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
会社が使用者の責任を負わないケース
ただし以下の条件を満たす時には会社は使用者が起こした事故の責任を負いません。
よって会社側がしっかりと注意をしていたという証明をしたときには責任を負わないことになります。
使用者は従業員に求償できるのか?
では会社が従業員の代わりにお金を全て払ったような場合には、使用者は従業員に対してお金を払えということができるのでしょうか?
例えばピザ屋が従業員の代わりに歩行者Cさんに対して損害額の100万円全てを支払ったようなケースです。
この場合、会社は従業員に対して求償することができます。
求償できる金額は?
では100万円のうちいくら会社は従業員に対して請求することができるのでしょうか?
結論として、いくら求償できるのかは民法には規定されていません。
なのでもしやろうと思えば会社は従業員に対して100万円全額を請求することができるのです。
ただし、会社にも責任があって従業員が事故を起こしてしまうようなケースも中にはあります。
そこで判例では信義則上正当な金額を求償できるという結論を出しました。
つまり会社側の責任また従業員の返済能力なども考慮して支払い金額を決めましょうというのが判例での結論となりました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は交通事故における使用者責任について説明してきました。
今回の内容をまとめると次のようになります。
- 業務中に従業員が交通事故を起こしたときは会社も責任を負う
- ただし相当の注意をしていたときは会社は責任を負わない
- 会社が全額賠償したときは、信義則上相当な金額を従業員に求償できる
今回の内容の中でわからないことや、ここをもっと知りたい!など要望があればぜひコメントお待ちしております。
では最後までお読み頂きありがとうございました。
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